川崎市の中古マンション、成約㎡単価「前年比−7.3%」は値下がりなのか?(2026年8月のデータを読む)

東日本レインズの2026年8月度データで、川崎市の中古マンション成約㎡単価は72.02万円と、前年同月より5.64万円下がりました。ただし同じ月に平均築年数が3年以上古くなり、築25年の境目をまたいでいます。首都圏の築年帯別データ、2年前との比較、首都圏全体・城東・横浜との比較を使って、この数字をどう読むべきかを解説します。

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川崎市の中古マンションは本当に7%値下がりしたのか

平均の数字としては事実ですが、「値下がり」と「売れた物件の顔ぶれの変化」が混ざっています。 2026年8月は築年数の古い物件が多く成約した月で、平均築年数が「築25年」の境目をまたぎました。これだけでも平均の㎡単価は大きく下がります。

SNS では「都心が上がり続ける一方で、川崎は前年比−7〜8%」という受け止め方が見られました。数字の出どころは、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が毎月公開している「Market Watch(月例速報)」です。この記事では、その同じ表と、レインズの築年帯別データをもとに、何が下がって何が変わったのかを順に見ていきます。

2026年8月の川崎市の数字はどうだったか

成約㎡単価は72.02万円で、前年同月の77.66万円から5.64万円下がりました。平均価格は4,777万円で311万円の減少、成約件数は194件で前年と同じです。 一方で平均築年数は26.85年と、前年の23.69年から3.16年古くなっています。専有面積は0.81㎡増えただけで、大きな違いではありません。

項目 2025年8月 2026年8月 前年同月との差
成約件数 194件 194件 ±0件
成約㎡単価 77.66万円 72.02万円 −5.64万円(−7.3%)
成約価格(平均) 5,088万円 4,777万円 −311万円(−6.1%)
専有面積(平均) 65.52㎡ 66.33㎡ +0.81㎡
築年数(平均) 23.69年 26.85年 +3.16年

出典:東日本レインズ「Market Watch」2026年8月度

川崎市の中古マンション成約㎡単価と平均築年数の月次推移。2025年8月から2026年8月。㎡単価は77.66万円から72.02万円へ、平均築年数は23.69年から26.85年へ。

築年数が3年古くなっただけで、単価は7%も変わるのか

変わります。首都圏の成約データでは、築21〜25年と築26〜30年の間で㎡単価に25%の開きがあり、川崎市の平均築年数はちょうどこの境目をまたぎました。

東日本レインズの年次レポート「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」に、首都圏の中古マンション成約物件を築年帯別に集計した表があります。

築年帯 成約㎡単価(首都圏、2025年) 隣の築年帯との差
築16〜20年 99.13万円
築21〜25年 86.10万円 −13.03万円
築26〜30年 64.45万円 −21.65万円(−25.1%)
築31〜35年 44.14万円 −20.31万円

出典:東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」

築年数と単価の関係は一定の傾きではなく、築25年前後と築30年前後に大きな段差があります。新耐震基準や住宅ローン控除の要件、大規模修繕の時期などが重なる年代で、買い手の見方が変わるためだと考えられます(要因の特定は本レポートの範囲外です)。

川崎市の2026年8月の成約物件は、平均築年数が23.69年から26.85年へ動きました。「築21〜25年が中心の月」から「築26〜30年が中心の月」に変わったのと同じことで、首都圏の築年帯別データをそのまま当てはめれば、平均単価は20%以上下がってもおかしくない構成の変化です。実際の下落は5.64万円(−7.3%)にとどまっていますので、築年数の変化を除けば、川崎市の単価は前年とほぼ同じか、むしろ底堅いと読むことができます。もちろん首都圏全体の平均を川崎市に当てはめるのは目安にすぎず、物件や立地によって段差の大きさは違いますが、「築年数の3年」は単価にとって小さな差ではない、という点は押さえておく必要があります。

2025年8月はなぜ高かったのか

確認できる事実は3つで、いずれも2025年8月の単価を押し上げる方向に働いています。理由を1つに特定することはできません。

  1. 2024年8月が低い月だったこと。 2024年8月の川崎市は成約件数123件、㎡単価72.62万円でした。2025年8月は194件、77.66万円で、件数は71件増、単価は5.04万円上がっています。前年比57.7%増という件数の伸びは、土台が低かったことの裏返しです。
  2. 首都圏全体が強い月だったこと。 2025年8月は首都圏全体でも成約件数が3,553件(前年同月比+54.5%)、㎡単価84.85万円(+13.5%)と、市全体の力で上がった月でした。
  3. 若い物件が多く売れた月だったこと。 2025年8月の川崎市の平均築年数は23.69年で、13か月の中で2番目に若い構成でした。前の項で見た通り、築年数が若い月は平均単価が上がります。

2024年8月、2025年8月、2026年8月の3つを並べると、㎡単価は72.62万円、77.66万円、72.02万円です。2年前とほぼ同じ水準に戻ったと言えますが、その間に平均築年数は21.63年から26.85年へ5年以上古くなっています。同じ築年数で比べれば、2年前より高い水準にあると見るのが自然です。

首都圏全体や東京、横浜と比べるとどうか

首都圏全体も㎡単価は前年同月より3.25万円下がり、平均築年数は約2年古くなっています。川崎市はその傾向が強く出た形です。

エリア 成約㎡単価 前年同月との差 平均築年数 築年数の前年差 成約件数の前年差
首都圏全体 81.60万円 −3.25万円 28.29年 +2.01年 −373件
東京都 都心3区 246.81万円 +9.72万円 22.91年 +2.49年 −98件
東京都 城東地区 100.66万円 +2.30万円 25.17年 +2.03年 −94件
神奈川県 横浜市 62.90万円 +2.12万円 29.50年 +1.48年 −13件
神奈川県 川崎市 72.02万円 −5.64万円 26.85年 +3.16年 ±0件

出典:東日本レインズ「Market Watch」2026年8月度

城東地区や横浜市は単価が上がっていますが、成約件数は城東で94件、都心3区で98件減っています。件数が減る局面では、売れた物件の偏りで平均単価が動きやすくなります。川崎市は件数が前年と同じで、そのぶん「古い物件の割合が増えた」ことが平均に素直に表れた、と見ることができます。横浜市は平均築年数が29.50年とすでに古い構成で、築年数の変化幅も小さいため、単価の動きが穏やかです。

売却や購入を考えている人はどう読めばよいか

市全体の月次平均は方向感をつかむ目安として使い、自分の物件は築年・エリア・面積帯を絞ったデータで判断するのが確実です。

  • 売却を考えている方:1か月の平均が下がったからといって、慌てて値下げする必要はありません。ご自身のマンションと同じ築年帯・同じ駅圏の成約事例を見ることが先です。特に築20年前後の物件は、築25年の境目を越える前と後で買い手の見方が変わりますので、売り出しの時期の判断材料になります。当社の査定では、国土交通省が公開している成約価格の公的データを築年・エリアで絞り込み、根拠となるデータをそのままお見せします。
  • 購入を考えている方:平均単価が下がった月は「古い物件が多く出た月」でもあります。築浅の物件や駅近の物件が同じ率で下がっているとは限りません。逆に、築25年を超えた物件は単価の段差のぶん割安になっていますので、修繕の履歴と管理状態を確認したうえで候補に入れる価値があります。
  • どちらの方にも:東日本レインズの月次データは方向感を見るのに向いており、国土交通省の四半期データは個別の物件に近い条件で見るのに向いています。当社では両方を組み合わせて使います。

今後はどう追いかけるか

東日本レインズの月次データを毎月確認し、国土交通省の成約価格データで川崎・横浜の駅別・築年別の動きを四半期ごとに整理します。

川崎市の中古マンション市況は、このブログで定期的に取り上げます。武蔵小杉や東急東横線沿線、川崎・横浜のタワーマンションについては、公的データをもとに駅別・築年別に見た記事を順次公開する予定です。売却や購入のご相談は、売りたい方向けのページ、買いたい方向けのページからどうぞ。

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch(月例速報)」「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」。前年差は当社が計算しました。成約した物件の集計のため、個々の物件の値動きとは一致しません。

この記事のよくある質問

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「Market Watch 2026年8月度」によると、川崎市の中古マンション成約㎡単価は72.02万円で、前年同月の77.66万円から5.64万円(−7.3%)下がりました。成約件数は194件で前年同月と同じ、平均価格は4,777万円(前年同月比−311万円)です。

平均の数字としては事実ですが、同じ月に成約物件の平均築年数が23.69年から26.85年へ3.16年古くなっています。首都圏の築年帯別データでは築21〜25年と築26〜30年の㎡単価に25%の開きがあり、平均築年数がこの境目をまたいだことが平均単価を押し下げています。個々の物件が7%値下がりしたと読むのは早計です。

2025年8月の川崎市は㎡単価77.66万円で、2024年8月の72.62万円から5.04万円上がり、成約件数は123件から194件へ71件増えた月でした。平均築年数は23.69年と、13か月の中で2番目に若い構成でした。2026年8月の72.02万円は、2024年8月とほぼ同じ水準です。

首都圏全体の㎡単価は81.60万円で前年同月より3.25万円下がり、平均築年数は2.01年古くなっています。東京の城東地区は100.66万円(+2.30万円)、横浜市は62.90万円(+2.12万円)でした。川崎市は築年数の上昇幅が最も大きく、その分だけ平均単価が押し下げられています。

市全体の月次平均は方向感をつかむための目安で、個別の物件の価格は駅からの距離、築年数、面積帯によって大きく異なります。当社の査定やご提案では、国土交通省の成約価格データを築年・エリアで絞り込み、根拠となるデータをそのままお見せします。

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