東京23区の中古マンションは値下がりしたのか? 横浜・川崎と比べる(2026年9月のデータを読む)

2026年9月の東京都区部の中古マンション成約㎡単価は130.39万円で、前年同月より1.15万円(−0.9%)下がり、8月の「76か月ぶりの前年割れ」に続いて2か月連続の前年割れになりました。東日本レインズの9月度データで、都区部の5地区(都心3区・城東・城南・城西・城北)と横浜市・川崎市を、㎡単価・平均築年数・成約件数の前年差で比べます。下げの多くは築年数の古い物件や地区の偏りで説明でき、横浜・川崎は前年とほぼ同じ水準です。

Read this article in English

2026年9月、東京23区の中古マンションは値下がりしたのか

9月の都区部の成約㎡単価は130.39万円で、前年同月より1.15万円(−0.9%)下がり、2か月連続の前年割れです。ただし5地区のうち下がったのは都心3区と城西の2つで、残りの3地区は上がっています。 下げの多くは、築年数の古い物件が多く売れたことで説明できます。

数字の出どころは、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が毎月公開している「Market Watch(月例速報)」です。前月の8月度で都区部が「20年4月以来76ヶ月ぶりに下落」となって話題になり、9月度もその流れが続きました。

エリア 成約㎡単価 前年同月比 平均築年数 築年数の前年差 成約件数の前年差
首都圏全体 81.07万円 −4.11万円(−4.8%) 28.53年 +2.27年 −1,018件
東京都区部 130.39万円 −1.15万円(−0.9%) 27.31年 +2.64年 −610件
都心3区(千代田・中央・港) 231.17万円 −3.69万円(−1.6%) 21.80年 +1.72年 −114件
城東(台東・江東・江戸川・墨田・葛飾・足立・荒川) 102.75万円 +0.93万円(+0.9%) 25.26年 +2.87年 −224件
城南(品川・大田・目黒・世田谷) 127.71万円 +3.73万円(+3.0%) 28.79年 +0.86年 −100件
城西(新宿・渋谷・杉並・中野) 148.61万円 −8.10万円(−5.2%) 31.15年 +3.73年 −91件
城北(文京・豊島・北・板橋・練馬) 107.46万円 +4.08万円(+3.9%) 28.80年 +2.73年 −81件

出典:東日本レインズ「Market Watch」2026年9月度

一番下げた城西は、平均築年数が27.42年から31.15年へ3.73年古くなった月でした。東日本レインズの年次レポートでは、首都圏の中古マンションの㎡単価は築26〜30年と築31〜35年の間で20万円以上の段差があり(先月の記事で紹介した築年帯別の表)、城西の平均築年数はちょうどこの境目を越えています。−5.2%のうち、どこまでが築年数の影響かを切り分けることはできませんが、「城西の物件が5%値下がりした」とそのまま読むのは早計です。

もう一つ目立つのは成約件数の減り方です。都区部は1,385件で前年より610件(−30.6%)少なく、9か月連続の減少です。件数が大きく減る局面では、どの地区・どの築年数の物件が売れたかで平均が動きやすくなります。

話題になった8月の「76か月ぶりの前年割れ」は何だったのか

8月の都区部の成約㎡単価は132.69万円で、前年同月を0.41万円(−0.3%)下回りました。ただし同じ月、5地区はすべて前年より上がっていました。 全体の平均を下げたのは、単価の高い都心3区の成約が大きく減ったことです。下げ幅は0.3%で、レインズ自身も「ほぼ横ばい」と書いています。

地区 成約㎡単価(2026年8月) 前年同月比 成約件数(前年→今年)
都心3区 246.81万円 +9.72万円(+4.1%) 252件→154件
城東 100.66万円 +2.30万円(+2.3%) 453件→359件
城南 128.43万円 +1.98万円(+1.6%) 355件→280件
城西 153.01万円 +5.61万円(+3.8%) 253件→213件
城北 109.50万円 +5.57万円(+5.4%) 280件→259件
都区部全体 132.69万円 −0.41万円(−0.3%) 1,593件→1,265件

出典:東日本レインズ「Market Watch」2026年8月度

5地区がすべて上がっているのに、全体が下がっています。都心3区の㎡単価は他の地区の2倍前後あるため、都心3区の成約が全体に占める割合が下がるだけで、都区部の平均は下がります。8月の都心3区の割合は12.2%で、前年同月の15.8%から3.6ポイント下がり、この13か月で最も低い月でした。9月は12.7%で、前年同月(14.5%)との差は8月より小さくなっています。

東京都区部の中古マンション成約㎡単価と、都心3区が都区部の成約件数に占める割合の月次推移。2025年9月から2026年9月。8月は都心3区の割合が12.2%と最も低い。

先月の記事「川崎市の中古マンション、成約㎡単価「前年比−7.3%」は値下がりなのか?」では、売れた物件の築年数が古くなると平均単価が下がることを見ました。都区部の8月は、それと同じことが「地区の割合」で起きた形です。

横浜・川崎は東京23区と比べてどうか

9月の横浜市は63.58万円で前年同月より0.67万円(+1.1%)、川崎市は72.19万円で0.11万円(+0.1%)と、どちらも前年とほぼ同じ水準です。 同じ1年で平均築年数は横浜市が2.22年、川崎市が3.07年古くなっており、築年数を考えれば単価は底堅いと読めます。

エリア 成約㎡単価 前年同月比 平均築年数 築年数の前年差 成約件数の前年差
東京都区部 130.39万円 −1.15万円(−0.9%) 27.31年 +2.64年 −610件
横浜・川崎市 66.39万円 +0.79万円(+1.2%) 29.24年 +2.35年 −112件
横浜市 63.58万円 +0.67万円(+1.1%) 30.46年 +2.22年 −101件
川崎市 72.19万円 +0.11万円(+0.1%) 26.72年 +3.07年 −11件
神奈川県他(横浜・川崎以外) 46.55万円 +4.86万円(+11.7%) 27.20年 −2.00年 −51件

出典:東日本レインズ「Market Watch」2026年9月度

横浜市・川崎市の中古マンション成約㎡単価と平均築年数の月次推移。2025年9月から2026年9月。川崎市の㎡単価は72.08万円から72.19万円、平均築年数は23.65年から26.72年。

川崎市は8月に前年比−7.3%と大きく下げましたが、9月は前年とほぼ同じに戻りました。平均築年数は8月の26.85年から9月も26.72年と古い構成のままで、それでも単価が前年並みに戻っています。先月の記事で「築年数の変化を除けば底堅い」と書いた見方を、9月のデータも裏づける形です。

成約件数の減り方も、23区とは違います。都区部が前年より3割減ったのに対し、横浜市は−18.6%、川崎市は−4.9%にとどまっています。

「神奈川県他+11.7%」はどう読むか

横浜市・川崎市以外の神奈川県(相模原市、湘南、県央など)の数字で、この区分だけ平均築年数が2.00年若くなっています。 築年数の新しい物件が多く売れた月で、先月の川崎市(3年古くなって−7.3%)とちょうど逆の形です。

成約件数も255件と少なく、月ごとのぶれが大きい区分です。「神奈川は上がり続けている」という受け止め方も見られますが、横浜・川崎の動きとは分けて考える必要があります。武蔵小杉など川崎市内の相場を考えるときは、川崎市の数字を見るのが適切です。

売り出し価格と成約価格の差が広がっているのはなぜ問題か

首都圏全体では、売り出し中の物件(在庫)の㎡単価が前年より26.7%高い一方、成約した物件の㎡単価は4.8%低くなっています。 売り手の希望価格と、実際に売れる価格の差が広がっています。

首都圏(2026年9月) ㎡単価 前年同月比 件数 前年同月比
成約 81.07万円 −4.8% 3,457件 −22.7%
新規登録(新たに売り出された物件) 118.01万円 +16.4% 17,721件 +15.4%
在庫(売り出し中の物件) 119.97万円 +26.7% 50,450件 +15.1%

出典:東日本レインズ「Market Watch」2026年9月度

在庫は7か月連続で増え、成約は6か月連続で減っています。首都圏の成約㎡単価81.07万円は、1990年10月(83.50万円)の水準を下回りました。売り出し中の物件と成約した物件は、地区や築年数の構成が同じではないため、この差をそのまま「値引き幅」と読むことはできません。それでも、高い値付けの物件が売れ残りやすくなっている状況はうかがえます。

売却や購入を考えている人はどう読めばよいか

月次の平均は方向感をつかむ目安として使い、自分の物件は同じ駅圏・同じ築年帯の成約事例で判断するのが確実です。

  • 売却を考えている方:都区部の「前年割れ」の見出しだけで、慌てて値下げする必要はありません。一方で、在庫が増えて売り出し価格と成約価格の差が広がっている時期は、相場より高い値付けでは売れ残りやすくなります。最初の売り出し価格を成約事例に近づけることが、結果的に早く、納得できる価格で売る近道です。当社の査定では、国土交通省が公開している成約価格の公的データを築年・エリアで絞り込み、根拠となるデータをそのままお見せします。
  • 購入を考えている方:在庫が増えている時期は、選べる物件が多く、価格交渉の余地も生まれやすくなります。ただし、平均単価が下がった月は「古い物件や郊外の物件が多く売れた月」でもあり、駅近や築浅の物件が同じ率で下がっているとは限りません。
  • どちらの方にも:東京23区と横浜・川崎は、平均単価で見ると動き方が違います。どこで買うか・売るかによって、見るべきデータが変わります。

売却や購入のご相談は、売りたい方向けのページ、買いたい方向けのページからどうぞ。

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch(月例速報)」。前年差と都心3区の割合は当社が計算しました。成約した物件の集計のため、個々の物件の値動きとは一致しません。

この記事のよくある質問

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「Market Watch 2026年9月度」によると、東京都区部の成約㎡単価は130.39万円で、前年同月の131.54万円から1.15万円(−0.9%)下がりました。前年割れは8月(−0.41万円、−0.3%)に続いて2か月連続です。成約件数は1,385件で、前年同月より610件(−30.6%)減っています。

2026年8月の数字で、都区部全体の平均㎡単価が前年同月を0.41万円(−0.3%)下回りました。ただし同じ月、都区部の5地区(都心3区・城東・城南・城西・城北)はすべて前年より上がっています。単価の高い都心3区の成約が252件から154件に減り、都区部の成約に占める割合が15.8%から12.2%に下がったことで、全体の平均が下がりました。

横浜市は63.58万円で前年同月より0.67万円(+1.1%)、川崎市は72.19万円で0.11万円(+0.1%)上がりました。同じ1年で平均築年数は横浜市が2.22年、川崎市が3.07年古くなっています。築年数の古い物件が多く売れた中で、単価は前年とほぼ同じ水準を保っています。

東日本レインズの「神奈川県他」(横浜市・川崎市以外の神奈川県)の成約㎡単価は46.55万円で、前年同月より4.86万円(+11.7%)上がりました。この区分だけ平均築年数が29.20年から27.20年へ2.00年若くなっており、築年数の新しい物件が多く売れたことが平均を押し上げています。成約件数も255件と少なく、月ごとのぶれが大きい数字です。

月次の平均は、売れた物件の地区や築年数の偏りで大きく動きます。特に成約件数が大きく減っている今は、その影響が出やすい時期です。個別の物件は、同じ駅圏・同じ築年帯の成約事例で判断するのが確実です。当社の査定やご提案では、国土交通省の成約価格データを築年・エリアで絞り込み、根拠となるデータをそのままお見せします。

← 記事一覧へ